遠賀川と白蓮さん
遠賀川小暗き中に銀色の光りは長く夜は明け初めぬ
遠賀川は飯塚市内を流れる川です。
飯塚の伊藤家を出奔後、白蓮さんは九州時代の十年を振り返って
川に身を投げようと思ったこともあったと述べています。
その川とは遠賀川であったのでしょうか。
飯塚市内の三か所に白蓮さんの歌碑が建てられています。
そのひとつ、飯塚商工会議所近くの遠賀川河川敷にあるのが
冒頭の歌が刻まれたものです。
あとの二か所は嘉穂劇場近くの穂波川(遠賀川の上流)河川敷、
そして旧伊藤伝右衛門邸近くの遠賀川河川敷と
いずれもこの川のほとりにあります。
白蓮さんが初めての歌集『踏繪』を出版したのは大正4年(1915年)。
当時の夫、伊藤伝右衛門の経済的支援により出されました。
その巻末に置かれているのは次のうたです。
わがわれに與へむとするは百年の後に生くべき物語ぶみ
今や『踏繪』刊行から百年が過ぎました。
枯れ草の中に碑はあり白蓮のうた百年ののちの川見る
キム・英子・ヨンジャ