短歌連作「イバジ-花の道」
韓国料理詩(歌)集『飲食(おんじき)のくにではピビムパプが民主主義だ~おいしい
詩を添えて~』(2015年 クオン)に収録されている私の短歌連作二篇。
きのうご紹介した「祭祀床(チェササン)-在日の百年」の次に掲載されているのが
「イバジ-花の道」(九首連作)です。
韓国では婚礼の際、結婚式の後に花嫁が初めて新郎のうちに入るにあたり
新婦の母親がつくった料理を詰めてもたせます。
日本でいうところの重箱に何種類もの料理を彩りよく詰めたもの、
これがイバジなのです。
祭祀床(チェササン)と同じく、行事食ですね。
この連作は九首のうち八首が書き下ろし。
あとの一首も未発表のものでした。
ははそはの母の煮炊きに養われ少女(おとめ)となりたり人となりたり
明日からはこの味離(か)れて義母(シオモニ)と厨に立つよ春霞む空
わたくしを育てた味を詰めてある重ねの箱と嫁ぎゆくかも
しんしんと歩みはじめる花の道あなたへ未来へ続くこの道
たまきわる命をかけてこの愛を育ててゆかん守りてゆかな
「イバジ-花の道」より
キム・英子・ヨンジャ