父に捧げた歌集
きのうは父の命日。
祭祀(チェサ)のため実家へ帰りました。
祭祀というのは日本でいうところの法事にあたります。
父は2003年に亡くなりました。
一人で日本に渡って来たのは数え年11歳の頃でした。
私が初めての歌集『サラン』を上梓したのは2005年です。
自分自身の歌集や句集を出版する目的はいろいろあるでしょうが
私の『サラン』の場合は
亡くなった父に私の歌集を供えたい、
それが理由でした。
「かりん」に入会する前のことで
その頃は結社にも短歌教室にも所属していませんでした。
『サラン』の巻頭には父への挽歌を置いています。
父が亡くなった日、
夕方からひどい雷雨になり、
それが一晩中続きました。
夜中に父への思いがうたになって溢れてきました。
何十首も。
それらを『サラン』に収めました。
その中から幾首かご紹介いたします。
父よ還れ雷鳴とどろく海を越え玄海灘へ友待つ国へ
ハイカラな父と答えぬひとり寄る棺のそばにふいに問われて
白菜(ペクチェ)キムチ器の水に洗いては幼きわれに食ませたまいき
故国(くに)の土せめて入れまし七十年日本に生きし父の骨壺
十一で渡りし国に逝きしとも父はかえらん 海渡る蝶