「最近、心に残った歌」 執筆編
きのう、
「短歌研究」の「最近、心に残った歌」というミニコラムに
「ひのくに」の江副壬曳子さんが
私の曼殊沙華のうたを取り上げてくださったことを書きましたが
それは2005年に初めての歌集『サラン』を上梓した後でしたから
2000年代後半のことでした。
2012年に第二歌集『百年の祭祀(チェサ)』を出版後、
私自身が同じタイトルで執筆する機会に恵まれました。
「短歌研究」2014年4月号に
作品十首とエッセイを寄稿したのがそれで、
連作十首のタイトルは「花の輿」、
「最近、心に残った歌」には
宮崎県在住(当時。今も、かな)の足立尚彦さんの一首について書きました。
ごく短い文章ですので、全文をご紹介いたします。
―― 以下、「短歌研究」2014年4月号に執筆――――――
なむあみだなみだみたいだなむあみだなみだみたいにぬれている月
足立尚彦 『でろんでろ』
言葉遊びのように詠まれていることも手伝って、一度読むと忘れられない。
亡くなった人はそばにいてくれるというが、この歌からは
呼んでも呼んでももう感じることのできない温もりを思い、
涙で頬を濡らしつつ月を見上げる姿が浮かんでくる。
涙は祈りなのだろう。
そして歌もまた祈りであると改めて思う。