宝宝(パオパオ)
中国語では赤ちゃんのことを「宝宝」(パオパオ)というそうですね。
調べてみたら、赤ちゃんだけでなく
5歳ぐらいまでの幼子のこともこう呼ぶそうですが
いずれにしても
「子宝」、「大切な」という意味がこめられているのだろうと想像できます。
国が変わっても親の心は変わりませんね。
この中国語を知って思い出すのは山上憶良の「子らを思ふ歌」です。
(のちに嘉麻三部作と呼ばれるようになったもののひとつですね)
序文と、長歌、それに反歌一首で成り立っています。
たいへん有名なのでご存じのかたが多いでしょう。
ここでは序文を割愛して長歌と反歌(短歌)をご紹介すると
瓜食めば 子ども思ほゆ 栗食めば まして偲はゆ
何処(いづく)より 来りしものそ 眼交(まなかひ)に
もとな懸(かか)りて 安眠(やすい)し寝(な)さぬ
(万葉集五巻-802)
銀(しろかね)も金(くがね)も玉も何せむに勝れる宝子に及(し)かめやも
(五巻-803)
中国の「宝宝」はこの「銀も-」の反歌(短歌)に通じるものですね。
ところで、長歌に出てくる瓜と栗ですが
どうしてこの二つの食べ物が子どもを思う歌に出てくるのでしょうか。
「どちらも子どもの好きなものだから」という解釈が一般的かと思います。
山上憶良にくわしい大学教授の先生から万葉集を学ぶようになって、
それだけではない意味があることを知りました。
とにかく憶良さんのうたは深い。
そのことを痛感しています。