ハナミズキ
朝(あした)この佳きもの鳥はハナミズキに鳴くわたくしに未来あるごと
このうたを詠んだのは2015年。
6月頃だと思います。
うちのベランダのすぐ近くに白い花を咲かせるハナミズキの木があります。
ちょうど3日前に今年初めての花が開きましたが
このうたの頃は
花の季節はすでに過ぎていたように記憶しています。
小鳥がその枝にとまってさえずっていました。
それを室内からながめた時に浮かんだ一首です。
「未来あるごと」と言っていますが
それは反語であって
未来が無いように感じていました。
生きる上での心の支えと、
生きるための糧=足かけ15年懸命に取り組んだ仕事。
その両方をほぼ同時期に、
しかも突然失ったのです。
人生で三度目のどん底でした。
呆然としましたが
これまでの経験から、
病気にならないように、とは考えました。
そのために心がけたのは三つ。
一つは早起きをすること。
二つめは栄養のバランスの取れた食事。
最後は、考えないこと、です。
考え込んで、気持ちが果てしなく落ち込んでゆくことが怖かったのです。
もちろん、考えてしまいます。
あ、考え込んでる、と気づいたら
他のことを始めるようにして
考え込んでいる状態に長く留まらないように努めました。
けれども、特に夜は気持ちが沈んでしまいます。
明日のことさえおぼつかないのですから。
それでも、朝になってレースのカーテン越しに初夏の光を感じ
小鳥のさえずりが聞こえてくると
少しは心が慰められるのでした。