ハングルはスパイの暗号⁉-「麗」
- momosaran
- 4月17日
- 読了時間: 3分
<2025年4月17日>
「ときめきポイント✨」と題した記事に書いたように
私が韓国ドラマ、特に時代劇でときめくポイントは
チマチョゴリ(伝統衣装)、韓茶、詩歌、などです。
ドラマ「麗~花萌ゆる8人の皇子たち~」について
伝統衣装のことは「貴婦人のパンツ」という記事にしましたので
今回は詩歌の話題を。
ドラマの中で第8皇子のウクがヒロインのヘ・スに
詩を贈る場面がありました。
すると他の皇子から
詩を贈られたら詩で返事をするものだと言われます。
これは日本でも万葉の時代や平安時代に
うた(和歌)がラブレターであったことに通じますね。
ただ、ヘ・スは贈られた詩の意味がわかりません。
なぜなら、当時、詩というのはつまり漢詩であって
すべて漢字で書かれているからです。
なぜへ・スは漢字を読めなかったのか?
それは、
貧しくて教育を受けられなかったからではありません。
ドラマをご覧になったかたはご存じのように、
ヘ・スは現代の韓国から高麗時代へタイムスリップしたからです。
韓国の文字は、と言えば、ハングル!
そのように即答されるかたが多いと思いますが
中国を中心とした東アジア文化圏にあって
古代、韓国も日本も漢字を使っていました。
その後、日本ではかな文字も使われるようになり
韓国では朝鮮王朝時代に世宗によってハングルが創製されます。
ただし、ハングルは主に庶民、または女性の文字として使われ、
公文書は漢文で書かれていたのです。
近代以降は
日本語での読み書きを求められた植民地時代や
漢字とハングルを併用した時代を経て
1970年、時の朴政権によって漢字教育が廃止されました。
ハングルだけを使う時代が始まったのです。
現在は学校で漢文が教えられているそうですが
人々に漢字が浸透しているわけではないようです。
特に、学校教育から完全に漢字がなくなった時代に育った人々には
漢字が身近ではないと想像できます。
実際、私はこういう体験をしました。
20年ほど前でしょうか、釜山のホテルでサインをする折に
漢字で署名しました。
すると、ハングルで書くように求められたのです。
現在の韓国では漢字はあまり使わないことは知っていました。
でも、名前は別だと思ってたんですね。
いくら漢字を使わなくなったといっても
ひとりひとりの名前は漢字なんです。
(現在は、ハヌルやサランなど、
漢字で書かない韓国の固有語を名づける場合もあるけれど
下の名前はそうであっても、姓は必ず漢字です)
だから、名前は漢字で書いても問題ないと思ったんですが
ハングルで書いて、と言われてしまったのです。
「麗」のヘ・スは、そういう時代から
漢字のみを使う高麗時代にタイムスリップしたのです。
だから漢字が読めずに苦労したんですね。
ところで、
そのヒロインがハングルで書きものをする場面が出てきます。
ハングルは朝鮮王朝時代に創られた文字ですから
高麗の人々は当然知りません。
侍女がヘ・スに「それは文字ですか?」とたずねます。
これによって、ヘ・スは間者の疑いをかけられます。
見知らぬ文字を書きつけていた、と密告されたのです。
高麗時代の人々から見たら
ハングルは魔訶不思議なかたちをしていて
暗号のように見えたのかもしれませんね。
(日本では、
「ハングル」は韓国・朝鮮語の意味で使われていますが
その意味は「偉大なる文字」。
韓国・朝鮮の固有の文字のことです)
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