ラストプリンセスの婚礼調度品
- momosaran
- 4 日前
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<2025年6月14日>
韓国の最後の王女、徳恵翁主(トッケオンヂュ)の婚礼調度品を観てきました。
九州国立博物館で開催中の「韓国文化遺産の至宝」展です。
徳恵翁主の父は朝鮮王朝第26代国王であり、
大韓帝国初代皇帝の高宗(コジョン)。
日本による韓国併合(1910年)により
李王家の李太王となりました。
徳恵翁主が誕生したのは韓国併合後の1912年ですから
正確には李王家の王女です。
ちなみに、
翁主とは王の娘のうち王妃(正室)以外の後宮の女性が産んだ王女の称号。
王妃(正室)が産んだ王女の称号は公主(コンヂュ)です。
展覧会では、対馬の宗家当主である宋武志伯爵との婚礼の際、
朝鮮の王公族から贈られた調度品が展示されています。
そのなかでもっとも目を引くのは朱漆の螺鈿箪笥でしょう。
ほかにも銀製のペアの茶器や香水瓶のセットなど。
展示数は多くはありませんが、とても貴重なもので
この目で見られるとは思っていませんでした。
わたしが初めて徳恵翁主のことを知ったのは40年ほど前のこと。
日本の皇族、梨本宮家から韓国の李王室の皇太子妃となった
李方子(り・まさこ、イ・バンジャ)女史の自伝『流れのままに』に
「徳恵姫」(とくえひめ)として書かれています。
以来、幼い頃に母上と別れて日本で暮らした
その悲劇的な一生はずっとわたしの胸に残りました。
それから15年ほどしてから(1999年)
『徳恵姫~李氏朝鮮最後の王女』という評伝が出ます。
著者の本馬恭子さんは
当時、長崎の活水女子大学の先生だったと記憶しています。
1925年、わずか12~13歳から日本で暮らし、
ご病気だった徳恵翁主は1962年に韓国に帰国しますが
時の朴正熙大統領が
「徳恵翁主とは誰だ?」と言ったエピソードがあるほど
最後の王女の存在は韓国で知られていなかったといいます。
日本国内については申すまでもありません。
そのようななか、
徳恵翁主についてのくわしい本が出たことは
わたしにとっては大きなニュースでしたが
当時は読むことができませんでした。
その王女が韓国で映画になったのは2016年。
これにも驚きました。
原題は「トッケオンヂュ」。
主演は、後に「愛の不時着」でヒロインを演じたソン・イェジンです。
日本では2017年に公開されました。
邦題は「ラスト・プリンセス~大韓帝国最後の皇女」。
もちろん映画館へ足を運びました。
史実に添いながら大胆な演出もあり、
特にアクションシーンには戸惑いましたが
それでも徳恵翁主について
両国の人々が知るきっかけになるのであれば
映画化されてよかったと思います。
今回の展覧会を機に、本馬恭子さんによる評伝を読むつもりです。
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