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千個のかぼちゃ


 トレーラーに千個の南瓜と妻を積み霧に濡れつつ野をもどり来ぬ


 時田則雄



40年前の『北方論』(1981年)に収録された1首。


北海道・十勝平野で農業を営む作者の代表作と言えると思います。


私も短歌講座で取り上げることの多い作品です。


「仕事のうた」や「千のうた」、「野菜のうた」をテーマにした時など。


「千」というのはたくさんという意味なので


実際に南瓜が千個なくてもいいのです。


ところで、先日、角川「短歌」(2021年5月号)を読んでいたら


作者の時田則雄さんがこのうたについて書いておられました。


ご友人に「トレーラーに千個も乗るか」といわれたそうです。


時田さんはこう書いていらっしゃいます。


「手ごろな大きさの<南瓜>は1個2キロくらい。


つまり、2キロ掛ける<千個>は2トンである。


十勝の農場で使う<トレーラー>は5,6トン積んでも壊れないように頑丈に出来ているのだ。」


当時耕作していた南瓜の畑は9千坪だそうです。


冒頭の1首はスケールの大きなうたですが


実際はその印象よりもっともっと大規模だったのでしょうね。



 

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