遠藤由季歌集『北緯43度』
<2021年11月24日>
「かりん」の遠藤由季さんの、
『アシンメトリー』、『鳥語の文法』に続く第3歌集が出版されました。
( 短歌研究社 2021年11月18日発行 2,200円+税 )
これまでの歌集と趣の異なる装幀は、歌人でもある花山周子さんが手がけておられます。
タイトルのことですが、
集中に「北緯43度」と題された一連があり、
その中に次の1首があります。
吐く息の白さのなぜか懐かしき北緯43度に降り立つ
この一連で、うたの中の<われ>は北海道の札幌に旅しています。
いいなと思ったうたはいくつもありますが、
歌集じたいはこれからの季節に暖かいお部屋で
ゆっくり、じんわり味わっていただくことにして
ここではクリスマスにまつわるうたをご紹介したく思います。
今日がクリスマスのちょうど1か月前であることと
タイトルになったうたとも響き合う気がするので。
シュトレンに粉砂糖なじみゆくまでの静かな時間を今年も買いぬ
青みなきイルミネーション懐かしく銀座通りの電飾見つむ
薄く薄くシュトレンを切る青き灯のなき頃の聖夜を思い返しつ
シュトレンに冬の星降り想うというゆたかな時にこころを放つ
「シュトレン」はクリスマスのお菓子ですね。
ドイツ発祥の菓子パンす。
ドライフルーツやナッツ、オレンジピールなどをたっぷり入れて焼いたもので、
日持ちがします。
ドイツではクリスマス前の4週間を指す待降節(アドベント)の期間に
少しずつ切って食べる習慣があるそうです。
遠藤さん、第3歌集のご上梓、おめでとう存じます。
Commenti