top of page

遠藤由季歌集『鳥語の文法』

  • momosaran
  • 2017年7月15日
  • 読了時間: 2分

鳥語にも文法があり複雑な声音に愛を告げる日あらむ

タイトルは冒頭の一首からとられているようです。

「かりん」の遠藤由季さんには「かりん」全国大会や忘年会、

拙歌集『百年の祭祀(チェサ)』の批評会でお会いしたことがあります。

2010年にかりん賞を受賞され、その年に第一歌集『アシンメトリー』を出版、

そしてその歌集で現代短歌新人賞を受賞なさいました。

今回上梓された歌集にはその2010年から2016年初夏までの三七五首が

収録されています。

現在、「かりん」での活動だけでなく、超結社の「ロクロクの会」や

短歌総合誌などでもご活躍中です。

あとがきからの次の言葉が帯文となっています。

「他者の道を歩くことはできず、自らの道を歩むほかにない現実を

投影してしまう詩形としての短歌。そのような短歌への親しみと畏れを、

本歌集を編むことによって改めて抱くことになった。」

             (  短歌研究社  2017年7月1日発行  税別2,500円 )

北京語は赤や黄色の言語なり鼓膜と瞼ぱらんとひらく

   セシウムとヨウ素抱き締め泣きながら海原へ身を投じゆく水

   おばあさん帽子を被る人多し鳴かぬ小鳥を隠しいるらむ

   もっと伸びる、とへちまが育つように言われふぅっと風のゆくえを追いぬ

   強風に飛ぶ鴉たち鳴いているなきながらゆくものら鋭し

   湖であれば恋などひとつくらい語りしものを手賀沼は沼

   表面に種浮き立たせ真っ赤なる苺を模様にして可愛いか

   あの雲にいま乗りこんでゆきたるは太り肉なりしわれの大伯母

   一途なるこころは疎まれやすき世に耳朶をかすめて雪の消えたり

   タッチ・アンド・ゴー次々と人間が改札機より旅立ちゆけり

   黒髪は重たかりけむ相聞をいくつ捨てしか和泉式部は

   短めの人生でいい一本の身体を秋の服に通せり


最新記事

すべて表示
「かりん」12月号-どんな人間

今月の「かりん」は8日に届きました。 (8日といえば、私が寝込んでしまった日ですね・・・) 今月号では私は前月号作品鑑賞(1A欄)を執筆しました。 それから、例年「かりん」の12月号には年間展望が掲載されます。 今回は、「山花集」の年間展望(執筆:畑彩子さん)で...

 
 
 
第33回いいづか短歌サロン-銀杏のうた

今月(第33回)のいいづか短歌サロン(紙上開催)は10日付で発行しました。 先月、8か月ぶりに会場で開催した折に見学に来られたかたがいらしたのですが そのかたが今回、初めてご参加になりました。 嬉しいことです♪ ご参加人数も紙上開催の回ではこれまでで最も多くなりました。...

 
 
 
「短歌は武器になる」

購読している新聞(朝日です)には土曜日に別刷りの「be」が付きます。 その大きな写真付きの1面は「フロントランナー」。 さまざまな分野で活躍しているかたへのインタビュー記事です。 1面の記事は3面にも続きます。 今週の「フロントランナー」は歌人の穂村弘さんでした。...

 
 
 

Comments


最新記事
アーカイブ

© 2016 by kotonohasha

当サイトの文章・画像などの無断転載を禁止いたします。

 

bottom of page