きらぎらし
きのうブログに書いた福岡市美術館のリニューアル」記念展でのこと。
「九州をめぐる美術 アジアの仏教美術」の展示室だったと思いますが
説明文に次のような一節がありました。
”6世紀の半ば頃、百済から献上された金剛仏を目にした欽明天皇が
「仏の相貌、端厳」と褒め称えたことが記録に残されています。
まばゆいばかりの仏の輝きは日本人の心をとらえ、
仏教を受容する大きな原動力となりました。”
欽明天皇のことばの「相貌」には「かお」、
「端厳」には「きらぎらし」とふりがながありました。
うちに戻って「きらぎらし」を改めて古語辞典で引いてみると
「きらきらし」の項に「『きらぎらし』とも。」と載っています。
その意味は
①きらきらと輝いている。
②端正で美しい。
③堂々として威厳がある。りっぱで美しい。
④きわだっている。格別だ。
欽明天皇のことばには、
こうした意味のすべてがこめられていたのかもしれません。
ところで、「きらきらし」は現代では「きらきらしい」とは使いませんが
「きらきらしている」とか「キラキラ」というかたちで残っていますね。
「キラキラネーム」ということばもあります。
現在では、子どもたちの名前がずらりと並ぶと
すぐに読める名前のほうが少ないのだとか。
(難解な読みではないのですが
「王子様」という名前の十代の男の子が
自分の意志で改名の手続きをしたというニュースもありました。)
また、先日は韓国にルーツを持つ大学生の「キララ」という名前を目にしました。
このお名前も、
もしかしたら古語の「きらぎらし」のような意味が込められているのかもしれません。