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東山ブルー


昨日まで九州国立博物館で開かれていた東山魁夷展。

ずっと以前に美術番組でその作品を知って魅せられ、

本物が観たくて信州の東山魁夷館に行きたいと思ったこともありました。

それが今回、唐招提寺御影堂の障壁画とともに

福岡でその美しい青、東山ブルーを堪能できたのは

なんと嬉しいことでしょう。

展示された中で最も心に残ったのは

「道」と「夕星」、それに唐招提寺障壁画の「濤声」です。

「道」はずっと前から観たかった作品。

道を際立たせるために実際の風景からいろいろなものが削られています。

シンプルな構図ですが、よく観ると空は淡い青だけでなくグレーが混じっていたり

遠い山並みの稜線に沿って白が使われていたりします。

「夕星」は絶筆。風景画を観て泣きそうになったのはこの作品が初めてです。

苦労して中国から日本に渡った末に失明した鑑真和上に

日本の風景を見せてさしあげたいと描かれた「濤声」の

圧倒的なスケールの前にはことばもありません。

今回、私が一番長くその前に立ち止まった作品、「道」。

この絵を観ると、思い浮かぶうたがあります。

  あかあかと一本の道とほりたりたまきわる我が命なりけり

                             斎藤 茂吉


 
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