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福岡で会う


中尾正美先生の書画展が福岡市天神のギャラリーで開催されました。

先生の号は希風。

高校で書道を習いました。

入学した時、芸術は音楽、美術、書道の中から選択することになっていました。

歌はまるでダメ、絵心もない私は消去法で書道を選びます。

お習字教室に通ったこともなく、書道が得意なわけではないけれど

とりあえずお手本を見ながら字を書くことはできる。

それがどんなに下手であったとしても

みんなの前で歌を歌わされる恐怖や

自分が描いた絵を前にしてのがっかり感よりはマシ。

そう思ったのです。

それまでに一度だけ、学校の七夕揮毫大会で入選したことがあります。

中学一年生のとき、同学年100名の中から「天」「地」「人」各賞1名が選ばれました。

書いたのは「真理の探求」。

この大会で、「地」だったか「人」だったか忘れたけれど受賞して貼り出されました。

小学生になるかならない頃からお習字教室に通っている同級生が何人もいるのに

どうしてその子たちではなく私のものが選ばれたのか不思議だったけれど

芸術科目を書道としたのはそのこともちょっと頭にあったのかもしれません。

いずれにしても意欲的に選択したわけではなかったのですが

けっこう楽しかった。

中学校では習ったことのない隷書はかわいい感じがして好きだったし

授業で落款も作りました。

二通りの字体で「英子」と彫った落款はなんと今も使っています。

先生とは不思議なご縁で、卒業以来お目にかかったのは

今回で4度目くらいですが、どちらも筑豊に住んでいるのに

地元ではなく福岡市でお目にかかることが多いのです。

3度目は博多で行われた中国の画家のかたのパーティーで

偶然お会いしたこともありました。

今回の個展は喜寿を記念したものだとのこと。

先生はあのころとお変わりなくみえますが、今年70歳ということは

あのころ落ち着いた大人だった先生、ほんとうはお若かったんですねー。

個展には20点の作品が並んでいて、そのうちのひとつは短歌を書かれていました。

次の一首です。

    砂山の砂に腹這ひ

    初恋の

    いたみを遠くおもひ出づる日          

                    石川啄木


 
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