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「愛を歌う花」


韓国映画「愛を歌う花」(2016年)の原題は「解語花(ヘオファ)」といいます。

ことばを理解する花、つまり花のように美しいということで

妓生(キーセン)や美人のことをさします。

物語は1943年の京城(現在のソウル)、

妓生達が暮らし、また将来妓生となる少女たちに芸事を教える屋敷から始まります。

屋敷の女主人が彼女たちにこう言います。

「妓生は解語花(ヘオファ)と呼ばれる。

それは単にことばがわかるという意味ではない。

芸術を理解し、教養を備えている。

それが妓生なのだ。」

その屋敷で育った親友のソユル(ハン・ヒョジュ)とユニ(チョン・ウヒ)。

妓生になったばかりの二人。

ソユルは伝統的な正歌(チョンガ)の名手で

ユニは天性の声の持ち主。

その頃、大衆歌謡は黄金期にあり、ソユルの恋人は流行歌の作曲家でした。

彼はソユルに「自分は現代のアリランを作る。君に歌ってほしい」と言います。

彼女は流行歌に心ときめかせてはいたけれど、彼には

「私は歌わない。私は正歌が歌いたいの」と答えます。

ある時、彼はユニの歌う流行歌に心奪われ、彼女のため曲を作ります。

屋敷を出たユニは彼の作曲した「朝鮮の心」をレコーディング。

発売前の公演で歌うと、その場に居合わせた人々の心をつかみます。

そして彼もユニに恋してしまうのです。

二人の姿を見てしまったソユルは自らの身をもって

二人のゆくてを妨害します。

どうしても彼の心を取り戻したいソユルの行動が

悲劇の結果を招くことになります。

本作では正歌や流行歌が何曲も歌われますが

それらはすべてこの作品のために創られたものだそうです。

最後に流れる曲は「愛と嘘(サラン、コジンマル)」。

「あなたの愛はすべて偽り」という歌詞がせつなく響きます。

男女の三角関係とか、同じ男性を愛してしまった親友同士というだけでなく

才能や恋愛や出世や、今の自分にはないそれらを持っている人への

妬みという感情とどう向き合えばよいのか。

どうすればそれに足をすくわれずに良い人生へと自分を導けるのか。

観終わって、そんなことを考えました。

妓生たちの伝統的な韓服、

街にお出かけする時のモダンさを取り入れた韓服の着こなし、

そして当時のセクシーでレトロなワンピースなど、

女性達の装いも見どころのひとつです。


 
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