鹿児島のうた-『短歌でめぐる九州・沖縄』
- momosaran
- 2018年3月8日
- 読了時間: 1分
きのうに続いて 『短歌でめぐる九州・沖縄』(桜川冴子著 書肆侃々房)より
鹿児島県を詠んだうたとして収録されている十五首より
次の二首をご紹介いたします。
出水
かるるかるるこうこう時にぐゑと吐く万羽の鶴の声のゆふぐれ
日高堯子
知覧・出水
特攻機つらねゆきたるわが友の まぼろし見ゆる。天の鶴群(あめのたづむら)
岡野弘彦
一首目は、鶴の飛来地として有名な出水平野を詠んだうた。
鶴の鳴き声のオノマトペに迫力があります。
一万羽を超えるほど集まると、もはや鳴くというより声を吐いていると聞こえるのでしょう。
二首目、知覧はかつて特攻基地があったところ。
ここから飛び立っていった特攻隊員たちと鶴の群れに
『万葉集』の、遣唐使となって海を渡るわが子の無事を祈るうた
<旅人の宿りせむ野に霜降らば我(あ)が子羽ぐくめ天の鶴群>
が重ねられているのでしょうか。
留言