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谷光順晏歌集『空とかうもり』


『空とかうもり』は「かりん」の谷光順晏さんの第一歌集です。

(短歌研究社 2018年6月20日発行 2,500円+税)

谷光さんご本人による仏画も複数収められており

独自のカラーを持った歌集となっています。

「かりん」の馬場あき子先生が帯文を、

そして影山美智子さんが解説を執筆なさっています。

 アッサム茶(ティー)のミルク濃ければたちまちに騒めく茶店の棕櫚の木護謨の木

 雪降れば雪をかなしむ姑逝きて雪の話をせざる歳月

 ふるさとの雪につぶれしをばの家馬のにほひと湧き水の音

 土間ひくく裸電球の照らす卓 おんじきの場にあつた暗がり

 まだしやべりてゐる母の声背にうけて団地の扉閉ざして帰りぬ

 胡粉・朱土・墨と順順描き入るる普賢も象も同じ目の色

 鮮やかなさくらもみぢ葉頭にうくるわたしまだまだ化けるや知れず

 魚偏の人かも知れぬ閉まりぎはをするりとかはし乗りてくる人


 
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