ある青年の志
おとといのブログで、直方市のかたの朝日歌壇入選歌をご紹介しました。
マイナンバー脇腹に付け赤牛は阿蘇のくぼ地に濡れて草食む
<直方市 永井雅子さん 2019.6.19朝日歌壇 馬場あき子先生・選>
この一首にふれて、すぐに思い浮かべたのは
ある大学生が描いた阿蘇の赤牛の絵でした。
熊本地震が起きた時、
短歌を通じた縁をいただいている女性のお孫さんが
南阿蘇村で被災なさったことを知りました。
大学生たちが暮らすアパートの一室におり、
女性がおっしゃるように九死に一生を得た状態でした。
知人とそのご家族もどんなにか心配なさったことかと思いますが
お孫さんが無事に救出され、怪我もほとんどないと聞いて
安堵しました。
ただ、被災した自室に何時間も閉じ込められた状態だったそうなので
ご本人はかなり心身の疲労を感じておられるだろうと思いました。
でも、彼はすぐに行動を起こすのです。
大学の友人たちが福岡市の天神で熊本地震への支援として
募金活動をしていると知って、手伝いにかけつけます。
それだけではなく、
高校時代から絵やイラスが得意でよく描いていたという彼の特技を生かして
チャリティーポストカードを作成し、販売するプロジェクトが始動します。
彼の祖母である女性がその10枚セットのポストカードセットを
私に贈ってくださってそのことを知りました。
絵柄は阿蘇の赤牛や、カブトムシ、猫、女性、静物など。
作者の繊細さを感じられる画風です。
そのチャリティーの趣旨をうかがって
ポストカードじたいは贈られた10枚セットがすでに手元にあるけれど
私自身も少しでも協力したいと思い、
2セット購入しました。
ぜんぶで30枚のポストカード。
友人知人に便りを出すのに使ったり、
5枚ほどをまとめて知人へさしあげたりしましたが
まだ何枚かは手元に残っています。
絵葉書入れとして使っている缶を開けると
いつもその赤牛の絵が目に入ります。
そのたびに、彼の、お世話になった南阿蘇村の復興に役立ちたいという
その志を思い出します。
チャリティーポストカードは全国から注文が来たそうで、
彼らは後日その収益金を南阿蘇村に寄付しました。