馬場あき子先生の新春詠-朝日新聞2020.1.1
元旦の朝日新聞に、馬場あき子先生の短歌が掲載されました。
恒例の、朝日歌壇選者のかたがたによる新春詠です。
他の選者の先生がたの作品と合わせてご紹介いたします。
(順不同です)
✤山茶花 馬場あき子
山茶花(さざんくわ)のことしの花が咲きはじめ
うひうひしき冬の心生まるる
年寄ればいたく恋(こ)ほしも
サバンナのライオンの狩りの背(せな)に風立つ
✤ふるさと伊予 高野公彦
クマノミもとろり眠るや年の夜の長浜高校水族館部
びようびようと霧疾彦(きりはやひこ)は肱川(ひぢかは)の
水面(みなも)を走り伊予灘へ出る
✤旧東海道を歩く 永田和宏
一里ごとに一里塚見るよろこびを思ひみることあらざりしかな
日本橋に吾(あ)を待てる友の幾たりを思ひつつ飲む年初の酒は
✤舌がよろこぶ 佐佐木幸綱
正月の酒そそがんと傾ける備前の盃(はい)へ備前の徳利
冬の月清(さや)けくあればひえひえの生牡蠣の身を舌がよろこぶ