推し⁉
「○○沼にはまる」とか「○○推し」という言い方をよく見聞きするようになりました。
これまでの「○○好き」「○○ファン」「○○オタク」と
どう違うのでしょう。
または違わないのでしょうか。
「沼にはまる」には
単に趣味に熱中しているというだけでなく
好きすぎて抜け出せなくなるところまできているという意味があるようです。
「推し」については
かつてはたとえば女性アイドルグループの中で
自分が最も応援しているメンバーといった意味合いだったのが
現在はグループそのものや
芸能人ではない有名人、
ユーチューバー、
アニメ作品、
アニメ作品の特定の登場人物などにも使うようです。
単に好きというだけでなく
グッズの大量購入や
「推し」の呼びかけに応じてボランティア活動や寄付をおこなうなど
今や「推し」を愛する力は大きな力になりつつあるようです。
私自身は「推し」という言葉を使うこともないし
それに該当するような対象も持っていないのですが
振り返ると、
あれが今でいう「推し」だったのかなと思うおかたがいます。
それは、元宝塚歌劇団星組男役トップスターの安蘭けいさん。
もともと私は宝塚に関心があったわけではなく
宝塚と歌舞伎と落語の舞台は後学のために一度は観ておきたいと思っていた程度。
ある時、宝塚で史上初めて安蘭けいさんが
韓国籍のトップスターになったというニュースを読みました。
それから間もなく
博多座に宝塚星組の舞台がやってくると知りました。
星組といえば、安蘭けいさん。
同じ在日同胞として応援したいという
それだけの気持ちで初めての宝塚観劇となったのですが・・・。
舞台に安蘭さんが出てきただけでぱっと華やぐような存在感。
その歌唱力に
いっしょに観た家族ともども大ファンになりました。
博多座では、
安蘭さんは後方ドアから登場して
舞台に向かって客席間の階段を歩きながら
韓国語の「ポゴシップタ」を歌うという演出もあって
涙が出そうでした。
(実際に安蘭さんは宝塚の韓国公演でこの曲を歌い
観客から絶大な拍手をおくられています)
それからは、
星組の福岡公演には必ず駆けつけました。
安蘭さんがトップスターになるまでの道のりを想像すると
自分もがんばろうと思えましたし
次はいつ安蘭さんの舞台を観に行くと決まると
毎日の生活に張り合いが出ました。
残念だったのは
安蘭さんのトップ時代はあまり長くなかったこと。
退団(卒業)が発表された時は気が抜けたようになりました。
その卒業公演には飯塚から兵庫県の宝塚大劇場まで行きましたとも。
翌日に博多で用事があったので
日帰りのトンボ返りでしたが
どうしても観たかったので。
その時は
安蘭さんが登場しただけで ただただ涙。
もう安蘭さんの男役を観られないと思うとほんとうに残念でしたが
苦しい時期の私を舞台で励ましてくれたことに感謝、感謝でした。
卒業後の安蘭さんは舞台女優となり
続けざまに舞台に主演されましたが
それは東京と大阪のみの上演で
福岡県在住の私にはなかなか機会がありませんでした。
それが!
とうとう安蘭さんの舞台が博多でも上演されることになったのです!
演目はシェイクスピアの「アントニーとクレオパトラ」。
安蘭さんはクレオパトラ役。
アントニーを演じたのは
まだブレイク前だった吉田剛太郎さんです。
確か安蘭さん初のストレートプレイでした。
1万円というチケット代も
数年ぶりに舞台の安蘭さんを観られるなら出せる。
(いっしょに行くはずだった知人がドタキャンしたので
私は2万円を負担することになったのですが)
ひさしぶりに観る安蘭さん。
男役でない安蘭さんは初めて。
クレオパトラの扮装があでやかで
衣裳からのぞく脚のラインが美しい。
でも・・・
なぜかその後
安蘭さんの舞台を観たいという気持ちが私から離れてゆきました。
理由は自分でもよくわからないけれど。
それでも、
子離れの精神的に苦しい時期を励まされたという思いは
今も私の中に残っています。
すばらしい舞台をみせてくださった安蘭けいさんに感謝しています❤
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