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新春詠

元旦の紙面に恒例の朝日歌壇の選者のかたがたの新春詠が掲載されました。


まず、馬場あき子先生の作品よりご紹介いたします。




  密さけて   馬場あき子


密さけて来し人界の外(と)にありてみつしりと濃し松の葉むらは



毀(こは)れたる柱時計の毀れたる時間鳴り出づ喨喨(りょうりょう)として




「喨喨として」が印象的です。


(喨喨=音の明るく澄んで鳴り響くさま)




ほかのお三方の作品も記します。





  学術会議   永田和宏


明かされぬ理由は誰もが考へる よおーく考へろよと睨まるるごと



あのことを許したのがすべてのはじまりとわれら悔ゆべし遠からぬ日に





  マスクと初日   佐佐木幸綱


濃紺の闇をすみれ色の大空へ移しつつ新年の日がのぼりくる



襟たてて足踏みをして三人のマスクが並び日の出を待てり





  年酒   高野公彦


まだ知らぬ我に会はむよ七十九となりて静かに年酒(ねんしゅ)たのしむ



原発避難十年目なる異郷にてコロナ禍に遭ひ耐へる人びと











 

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