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坂井修一歌集『鷗外の甍』

  • momosaran
  • 37 分前
  • 読了時間: 1分

<2025年6月18日>


坂井修一さん(「かりん」編集人)の第13歌集です。


2021年から2025年新春までの507首が収められています。


(短歌研究社 2025年4月20日発行 3,000円+税)


近代の文学者たちへのまなざし、


特に森鷗外や石原純、木下杢太郎への心寄せに


思いをいたしました。


仏教のことばも印象的でした。







葉隠れにしじみ蝶とぶしづけさやわれもあそばなこの閻浮堤







釈迦に降りし雨はキリストよりおほしぽつんぽつんと頭(かしら)をぬらす







わが母の愛せし人は父ならずアイギストスといづれうるはし







カミオカンデあをくひかれりわれ今宵ひとの世は知らず神と遊ばむ







うつしよに友はなけれど詩歌史のなかにほほゑむ純・杢太郎







ちりあくた舞ふうつしよの昼の鐘帰りなむいざ鷗外文庫







うつくしく老ゆる恋人ひとはみな持ちて老いゆく別れののちに







わが妻はことば織り姫そのことば夜半の井戸よりくみあげて来る







葦原は妻のにほひすわれ捨ててひとりにならむといひしゆふべの







すみとほる魂はひとを脅かす熊野古道のりんだうの花






       本宮

おのづから荒ぶるこころ素戔嗚をうつくしとわが思ひそめし日







身実(むざね)ひとつ恥づかしけれど曝すほか歌ふほかなし桃のしづくよ







おのづからふかきに入りし森に問ふどこにもをらぬわたくしのこと











 
 
 

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