熊谷純歌集『あぢさゐの地図』
- 1月18日
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<2026年1月18日>
「かりん」の熊谷純さんの第2歌集が出版されました。
( 飯塚書店 2026年1月15日 )
解説を米川千嘉子さんが書いておられます。
熊谷純さん、ご上梓おめでとう存じます✨
辞めたいといふわが意志はあざやかなスタッフ募集のポスターになる
いつかまた降りだすだらう大きめの傘を開いたまんまで歩く
みごもれるあなたのためにつややかなトマトを選ぶ真夏日の午後
我あてに父が手帳に遺したる「すまなかつた」の意味が知りたい
ぬき打ちのテストのやうに降る雨を折りたたみ傘で正しくしのぐ
西瓜しか食べられなかつた君だつた夏もはるかになる小正月
曇天の街をゆつくり妻は行く白菜ほどの胎児とともに
スプーンを渡せばずつと初秋の涼しき風をすくひて遊ぶ
「いらつしやいませ」とふ我に真四角の積み木をひとつ差し出して来る
保育所へ迎へにゆけば吾子はまづ弁当箱を開いて見せる
坂道を雨はどんどんくだりゆき「川ぢやねえー」と吾子ははしやげり
三歳の吾子の頭の中にある保育所までのあぢさゐの地図
八月の六日の帰りに吾子が言ふ「ひろしまがばあーんとなつたんぢやろ」
朝顔の葉にも雲にも地面にも「く」の字をみつけ教へてくれる

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