米川千嘉子歌集『雪岱が描いた夜』
<2022年4月10日>
「かりん」の米川千嘉子さんの第10歌集が出版されました。
( 本阿弥書店 2022年3月23日発行 2,700円+税 )
歌集のタイトルは昨年開催された展覧会で目にした
小村雪岱(画家・装幀家)の挿絵原画からきているということです。
雪岱の作品による装幀は真田幸治さんが手がけられたもの。
米川さんと小村雪岱という組み合わせに
喜びでドキドキしながら表紙を開いたのでした。
だれのことも助けないといふ顔をして乗り来し少女も隣で眠る
家の前の小公園には毎日園児が来る。
秋の日のをさな子のこゑ泣く・叫ぶ・ダンゴムシゐて先生を呼ぶ
褒められたき日の息子なり山雀はオレンジの胸ふくふくと来る
ビニールと段ボールに巻かれて文庫本狂へるごとき速さで届く
一日(ついたち)のコンビニ開(あ)かず新年の淑気のために人間のために
二夜寝て息子帰りし一月二日大堀川で翡翠にあふ
マスク得てわが息大事われ大事〈われ〉を抱きて問ふことをせず
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