『それはきっと必要ない』(印南敦史・著)
12月に風邪で長く寝込んだ(そして体調回復までに2か月かかった)とき
いろいろと思うことのあった私の目にこのタイトルが飛び込んできました。
サブタイトルは、『年間500本書評を書く人の「捨てる」技術』。
(誠文堂新光社 2020年12月10日発行 1,400円+税 )
表紙を開けると
『その「当たり前」を捨てたら、心がスーッとラクになる!』
という大きな文字が出迎えてくれます。
5章に分かれていて
ちなみにその章立てをご紹介すると
第1章 その「仕事」は必要ない
第2章 その「コミュニケーション」は必要ない
第3章 その「インプット」は必要ない
第4章 その「生活習慣」は必要ない
第5章 その「メンタル」は必要ない
作家・書評家として本を書く以外にウェブメディアにも多く寄稿しているかたなので
おかたづけのプロがよく勧めるような
「思い出の品は写真に撮ってから捨てる」
「写真は紙ではなくデータで残す」
とかそういうことを書いてあるのではないかと思いましたが
そうでもないのです。
たとえば第1章の内容はこんな具合。
✤第1章 その「仕事」は必要ない
・「自分でやったほうが早い」は必要ない
・相談しようかどうか、「悩む時間」は必要ない
・「2ページ以上の資料」は必要ない
・デスクに「書類の山」は必要ない
・仕事中の「仮眠」は必要だ
・「紙の辞書」はやっぱり必要だ
・「なにを書くか悩む時間」は必要ない
おもしろいのは、必要ないものが書かれている本なんだけど
時々「○○○○は必要だ」という項目があること。
それがアナログなものであることです。
第1章の紙の辞書もそうですし、
第2章ではメモを取る習慣、
第3章では新聞と図書館、
第4章では年賀状、
第5章ではきのうと同じきょうを過ごすことと感謝の気持ち。
それらを必要だと述べています。
アナログな私でさえ10年ぐらい前から紙の辞書からは離れ
電子辞書とインターネットでの検索を併用していますが
著者は紙の辞書のページをめくる効用を記します。
また、第1章の「なにを書くか悩む時間は必要ない」という項目は
特に関心を持って読みました。
著者の提示する、書けないことに対する解決策は
「書くことを楽しんでしまえばいい」。
そう思えるまでがたいへんそうではありますが
著者はそう言い放っただけではなく
そのためにどうすればいいかを具体的に並べています。
それに膝を打つか、首を傾げるかは人それぞれでしょう。
人それぞれ、、集中に持っていくための段取りは違うと思うので。
それでも、並べられたものの中に私も共感できるものがありました。
それは、
「気持ちが乗らない場合は、まったく関係なことをしてみる」。
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