内田いく子歌集『とっぴんぱらりのぷう』
「かりん」の内田いく子さんの5番目の歌集が出版されました。
(角川書店 2021年1月25日 2,600円+税)
歌集中に次の一首があります。
骨も血も遺さず〈とっぴんぱらりのぷう〉忘れ草咲く野末にかがむ
「とっぴんぱらりのぷう」とは作者のふるさと秋田に伝わる昔話の結びのことばで
「おしまい、めでたしめでたし」の意味。
そして「聞いてもらってありがとう」の思いもこめられているようだと
あとがきにあります。
語感も愛らしく、印象に残ることばで
歌集名として良いなあと思います。
そこにはいろいろな人生の思いがこめられているのでしょう。
歌集から、印象に残ったうたを幾首か記します。
ふたつ下のお隣さんもおひとりで寝たきりらしいでも息子来る
漬物(がっこ)の味で嫁の良し悪しきめる地の嫁を拒みてすてしふるさと
三日目に潰えるような決心にもあったかいなあ元日の陽は
昨日は日にち今日は時間を間違えた頬染めながら寒椿咲く
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