恒成美代子歌集『彼方へ』
- momosaran
- 5 日前
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<2025年7月7日>
「未来」の恒成美代子さんの歌集が出版されました。
(角川文化振興財団 2025年5月23日発行 2600円+税)
『而(しかう)して』(2021年)に続く第10歌集です。
地元福岡市の那珂川を詠んだうたや
さまざまな花のうたにもひかれますが
わたしがもっとも立ちどまったのは
亡きご夫君を詠まれたうた。
ご夫君亡きあとの思いを詠まれたうたです。
恒成美代子さん、第10歌集のご上梓、おめでとう存じます。
お迎へに来るのか否(いな)か口許を凝視(みつ)めてゐたり夢の覚め際
愛された愛した記憶それだけで生きてしゆかむ 雨の紫陽花
「今になにかいいいことあるよ」眠る際(きは)われに囁く彼方のきみが
独り言呟きこたへひとりごと 夜が長いよとても長いわ
耀(かがよ)ひしかのにちにちを偲ぶのはわたしではない あなたであらう
「未亡人」とは呼ばざりて「寡婦」の語も死語となるのか「独居老人」
太声に呵々大笑し牧水にひと生捧ぐる伊藤一彦
リビングの主(あるじ)の椅子に当然のやうに息子が座つてゐるよ
「もういいよ 先に逝くから」微笑みてあなたはあなたのいのちを閉ぢた
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