松本千恵乃歌集『霧のメロディア』
- momosaran
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<2025年7月2日>
「未来」の松本千恵乃さん(福岡市在住)の第2歌集です。
( 現代短歌社 2025年3月27日発行 2,700円+税 )
黒瀬珂瀾さんが帯文を書いておられます。
松本さんが第1歌集『蝶の声』を上梓されたのは
コロナ禍が始まった2020年の8月。
複数の歌人団体の役員もつとめるなどご多忙ななか、
それから4年半ほどで次の歌集を出されたことに熱意を感じます。
歴史や地理がお好きだという松本さんは
世界100か国以上を旅されたのだとか。
その旅行詠が多いことや社会詠、地元博多を詠んだうたなどが
歌集の特徴としてあげられるかと思いますが、
わたしは日常のさりげないひとこまのうたに惹かれました。
また、山本詞(つぐる)を詠んだ1首があることに注目しました。
山本詞は かつて飯塚の炭坑で働いていた歌人で
坑内事故のため32歳で亡くなりました。
わたしは山本詞について調べて
近畿大学産業理工学部の研究報告誌「かやのもり」に寄稿したことがあるため
松本さんが歌集にその1首を収められたことをうれしく感じました。
松本さん、第2歌集のご上梓おめでとう存じます✨✨
めずらしい鳥が来てるよやんわりと夫が言うとき用があるのだ
ツバメの巣二つが占める小さな駅 端を歩きて隅に腰かく
古書店の紙あまやかに朽ちていく匂いに惹かれ引き返したり
われひとり座す映画館いつの間に人影一つ前方にあり
紫の帽子の似合う人と居てカップを指はまねしてつまむ
冬晴れを遠賀、岡垣、岡井さん、大きな雲の下のドライブ
かつてここ傘修理屋のありし場所グラジオラスが花屋に咲けり
「本日のご葬儀」欄に十五名知らぬ人だが年齢は見る
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