歌人の自己愛-角川「短歌」1月号
✤
角川「短歌」2021年1月号では
新春特別座談会として
馬場あき子、伊藤一彦、小島ゆかり、藤原龍一郎の各氏が
「見つめ直す自己愛-自分を育て世界と交わる」というテーマで話し合われています。
掲載ページ数が26ページに及ぶ座談会を
もしもひとことで表すとするなら
(そんな乱暴なことはできませんが)
冒頭の馬場あき子先生の
「歌人はみんな自己愛の権化みたいなもの」
という発言になるでしょうか(=^∸^=)
ご参加のかたがたが「自己愛を感じる歌」を
それぞれ5首あげておられて
それらに沿ってお話が進んでゆくのですが
その合計20首には
古典から若手の最近の歌集まで幅広く入っていて
興味深いものでした。
特に印象に残ったのは
小島ゆかりさんのあげておられる
捨てはてむと思ふさへこそ悲しけれ君に馴れにし我が身と思へば
和泉式部
という一首から
他者への愛につながる自己愛、
自然を含む自己愛
ということが論じられている部分です。
4名のかたのお写真の背景がみな違ったので
オンライン座談会だったのだなと感じられました。
(最後に令和2年11月20日 リモートにて開催と記されていました)
馬場先生は現在90歳代ですが
「かりん」の編集会議も
こうした短歌総合誌のお仕事も
ばりばりオンラインでなさっていて、
自分を顧みて見習わなければと思う気持ち大!です。
✤
花山多佳子さんの連作「琥珀」10首より。
紅葉(もみじ)するころの空気のつめたさに昔の弁当の匂ひ過りぬ
この1首にハッとしました。
中学生の時、冬の寒い教室で
新聞紙にくるまれたお弁当箱を開けた時の匂いや感覚が
よみがえってきました。
こんな繊細な感覚を詠めるなんて、
短歌はすごい!
花山多佳子さんはすごい!
Kommentare