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角川「短歌」3月号-歌を作り続けた人が

角川「短歌」2021年3月号を読みました。


その中で


印象に残ったうたとことばからご紹介します。




✤ 魂の緩みしときに生まれたる歌はのつぺらぼうで色なし


  時田則雄『裸木」より




 私も同じようなことを感じたことがあります。


 その時(6年ほど前)に詠んだのが次の一首です。




 平坦な暮らしにうたの細りたるわれに休眠打破の別れが来たり


 キム・英子・ヨンジャ





✤ 弱い者から死ねと言うこのくにの空をかりがね悲しまず飛べ


  佐藤弓生「奈落」より





 これは斎藤茂吉が太平洋戦争終結後にうたったかりがねの一首を


 下敷きにしたものでしょうね。





✤「とにかく若い人たちには詠いたいことを追求してほしいですよね。


  裕子さんじゃないけど、時代に合っているか会っていないかは別にして、


  周りに何と言われようと、詠いたいというものを強く持ってもらいたい。


  そしてやっぱり歌い続けてほしいです。


  やめないでほしい。


  若い人が注目される機会が増えているけど、


  ずっとそれが続くとは限らない。


  でも、だからこそ作り続けてほしいし、


  そういう人が最終的に自分らしい歌を作る人になるのかなと思いますね。


  僕らの同年代にもやめてしまった人はたくさんいる。


  けど、やっぱり作り続けた人が自分の世界を築いている。


  評価されたり、されなかったりしても簡単にやめないで作り続けてほしいですね。


  誰かには絶対届いていると思うから。」



  『この世の息 歌人・河野裕子論』刊行記念特別対談

  伊藤一彦 × 大森静佳

  「飛ぶ文字、歩く文字、その間(あわひ)」より





  引用したのはこの対談の最後のあたりでの伊藤一彦さんのことばです。


  「裕子さんじゃないけど」というのは河野裕子さんのこと。


  若い人たちに向けられたことばではあるけれど


  ある程度の歌歴があるかたの胸にも響くことばだと思います。


  私を含めて、歌を詠んでいるひとには


  最初に引用した時田則雄さんの一首のような時期も来るわけですが


  そんな時にも


  この伊藤一彦さんのことばは励みになります。


  


  








 

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