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ぎゅっと詰まった贈りもの


歌集や歌書を出版すると献本するならいがあります。

私が所属する短歌結社「かりん」のお仲間がお贈りくださることも多くなりました。

5月は桜川冴子さんの『桜川冴子歌集』と大谷榮男さんの『トンネルの向こう』が、

6月には田村奈織美さんの第一歌集『透明なペガサス』が、

そしておとといは舟本恵美さんの歌集『野うさぎ』が届きました。

ありがとう存じます。

歌集のお礼状をしたためる時は感想やその中の好きな歌を書くようにしています。

自分の状況によっては上梓のお祝いや恵送へのお礼にとどまってしまう場合も

ありますが、できるだけ拝読してからお手紙を書くように努めています。

これまでの作品を歌集にまとめるとなると、

私の経験から申せば しなければならないことはたくさんあります。

まず出版社を決めて、そちらとの打ち合わせ。

解説や栞をつけるならば、どなたに執筆を依頼するか決めなければなりません。

そして、どの作品を収録するかの選歌と編集。

ようやく歌稿をまとめて出版社に送り、ほっとするのも束の間。

次は校正です。

それも初校、二校、場合によっては三校と続くのです。

また、装幀もカバーデザインだけでなく表紙の色や素材も多くの種類があり、

見開きやしおりの色まで、選ばなければならないことはたくさんあります。

そうしてようやく本が完成したら献本先をピックアップして送る作業に入ります。

歌集に収められたうたには作者の思いがこめられています。

さらに、その本ができあがるまでにかけられたたくさんの時間。

送られた歌集はまさに思いと時間がぎゅっと詰まった贈り物なのです。

と言いながら、田村さんの「透明なペガサス」、

拝読したものの仕事にかまけてお礼状が遅くなってしまいました。

申し訳ないことです。

今日の夕方には投函できそうです。

では、田村さんの歌集から、教職につかれていたころの一首を引きます。

  ノコギリを振り上げている十五歳の何を信じた 抱きしめていた

                                 田村奈織美


 
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