かりん3月号 - 卵抱くやうに
先日、鶏と鶏卵に関わる研究をなさっているかたから
にわとりの短歌ってあるのですかとたずねられました。
にわとりは万葉集にも「かけ」、「かけろ」として詠まれています。
現代短歌では、鶏ときいて私がすぐに思い浮かぶのは
ちょうど今ごろの季節をうたった次の一首です。
鶏ねむる村の東西南北にぽあーんぽあーんと桃の花見ゆ
小西英之
一方、卵をうたったものとなると、
鶏卵を詠んだ厨歌(くりやうた)をはじめ女性の身体性にからめたものなど
何首ものうたがすぐに思いだされます。
卵は現代短歌においてしばしば登場するモチーフといえるでしょう。
きのう「かりん」3月号が届きました。
来月号の「前月号鑑賞」欄を執筆するので
今日から担当の1A欄を読んでいるのですが
昨日読んだ中で心に残った数首の中に次のうたがあります。
卵抱くやうにこころを抱きながら自分のこころは他人のこころ
渡辺松男