8月12日
- momosaran
- 2017年8月14日
- 読了時間: 2分
夏晩(おそ)し蟬よ鳴け鳴け蟬よ鳴け河野裕子が逝ってしまった
キム・英子・ヨンジャ 『百年の祭祀』
これは7年前(2010年)の8月の朝に湧いたうたです。
この年は勤務していた経済団体で30周年記念行事を7月に開催しました。
まだ記念事業は残っていてバタバタしているるものの、
1年をかけて準備した、これまでで最大の式典が成功裏に終わり、
忙しい中にも安堵感と充実感がありました。
その日は休日でした。
平日は残業続きでも、週末はそれまでのような休日出勤をしなくてよくなったので
いつもよりゆっくり起きてのんびりと朝刊を手に取ると
一面に歌人・河野裕子さんの訃報が載っていました。
8月12日に逝去、享年64歳とあります。
病に臥せておられることは存じていたものの
こんなに早く亡くなるとは思いもしていませんでした。
面識があるわけではなくて
歌集や短歌総合誌で作品を読んでいただけですが
河野さんの死は衝撃でした。
少しの間、新聞を持ってぼうと突っ立っていました。
その日は朝から強い光が照りつけ、蝉の声が響いていました。
そのときに浮かんだのが冒頭のうたです。
一読者に過ぎない私でさえそうでしたから
ご家族は申すに及ばず、結社のかたがたや
交友のあったかたがたのお気持ちはいかばかりだったでしょうか。
河野裕子さんには蝉を詠んだこのような一首があります。
しんしんとひとすぢ続く蝉のこゑ産みたる後の薄明に聴こゆ
『ひるがほ』 (1976年)
そして、他界なさった翌年に出版された遺歌集のタイトルは『蝉声』。
ご存じのように、みな歌人でいらっしゃるご家族
(永田和宏さん・永田淳さん・永田紅さん)によって世に出され、
大きな反響を呼びました。
八月に私は死ぬのか朝夕のわかちもわかぬ蝉の声降る
『蝉声』 (2011年)
子を産みしかのあかときに聞きし蝉いのち終わる日にたちかへりこむ
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