尾崎朗子歌集『タイガーリリー』
- momosaran
- 2017年8月17日
- 読了時間: 2分
「かりん」でお世話になっている尾崎朗子さんの第二歌集です。
( ながらみ書房 2015年8月30日発行 )
純情を暴走させることもなくタイガーリリーは胸に人恋ふ
という歌があります。
タイガーリリーとは。
あとがきに、『ピーターパン』に登場するインディアンの女の子の名前だと
記されています。
義に厚く元気なタイガーリリーが子どものころから好きだったそうです。
この歌集を読み終えた時に感じたのは
明るいけれどさびしい。
控えめだけど華もある。
ということでした。
そして、ふと馬場あき子先生の書かれた帯文を再読すると
それはこのように書き出されていました。
「尾崎朗子さんの作歌への情熱はすばらしいが、その炎の色は涼しい。」
馬場先生はひと言で表していらっしゃるのでした。
四度めの転職をしてにこにこと感じのよいふうな人になりゆく
さむがりのインコの籠にほのぼのとひよこ電球灯す秋の夜
「ご家族はこれだけですか」と問ふ医師に「はい」としづかに頷く親子
仕事だからお仕事だからとひと吠えし火の輪をくぐるサーカスの虎
初七日のゆふぐれ滲み骨壺のなかにわたしの小鳥がをります
反論はできないけれど会議前トイレに眉根を寄せる練習
風を乗せ揺らぐボートを見てをりぬ一生(ひとよ)小池に終はる揺らぎを
もう君との旅はなけれど近代詩のごとく書棚にある時刻表
尾崎さんの『タイガーリリー』は第16回現代短歌新人賞を受賞しました。
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