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駒田晶子歌集『光のひび』

  • momosaran
  • 2017年8月23日
  • 読了時間: 1分

「心の花」の駒田晶子さんの第二歌集です。

(書肆侃々房  2015年11月17日 発行)

出版されてすぐ(2015年11月20日)に読みました。

    リビングで水中眼鏡つける子の呟くくらいせかいがくらい

    廊下暗し結局だれが悪かった?呟く声ばかりが立っている

    なかなかに引き抜きにくい釘抜けぬままぬけぬけと都市の明るし

一首目。

子どもは水中眼鏡を通して見える部屋の中が「暗い」と言う。

部屋ではなく世界が暗いと言うことばに「CRY」を思います。。

幼い子どもの口からは時に悟りのようなことばが出ることがあります。

二首目。

渡辺白泉の俳句「戦争が廊下の奥に立つてゐた」が下敷きになっているのでしょう。

駒田晶子さんは福島県福島市生まれ。仙台市にお住まいです。

東日本大震災に遭った駒田さんから見た

福島原子力発電所事故後の日本なのだろうと読みました。

三首目。

「ぬけぬけと」に「抜け抜け」と「ぬけぬけと」、

二重の意味が込められているのでしょう。

あとがきには、

「(『光のひび』の)〈ひび〉は〈日々〉でも、〈罅〉でも。

こぼれてくる光を、光のようなことばを、救いとりたい、と願います。」とあります。

光を感じさせる黄色を基調として

草花と木の実をついばむ鳥が描かれた装幀も素敵です。


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