かなしき横顔
短歌らしきものが初めて私から生まれたのは中学生の時。
その後、高校3年生の時 受験勉強をしていて再び湧いてきて
それからは途切れることなく今にいたっています。
わがやの新聞は私がものごころついた頃から
ずっと知り合いの朝日新聞販売店から購読していました。
その紙面にある朝日歌壇に初めて投稿したのは
22歳になったばかりの7月。
特に動機もなく、ふとその気になって
18歳からノートに書き留め続けていたものから選んで送りました。
投稿は、はがき一枚に一首を書く決まりになっています。
一枚だけ送ったのか、それとも二、三枚だったか覚えていません。
それが8月1日(日)の朝日歌壇に掲載されたのです。
初めて送ったものが入選するとは思っていなかったので
びっくりして、ひっそりと嬉しかったです。
宮柊二選の欄に載ったのは次のうたです。
微笑みて憂いの影を横顔にもてるかなしきひとを恋うなり
学生時代に片思いの先輩を詠んだものです。
この時代、私は短歌のことを話し合う友人もいなかったし、
まして短歌結社や短歌教室などにも所属していませんでした。
だからどなたかに報告することもなく
ただ姉に新聞を見せただけです。
朝日歌壇の当時の選者は、
馬場あき子、近藤芳美、宮柊二、前川佐美雄の各氏です。
これから27年後、
私は馬場あき子先生主宰の結社「かりん」(歌林の会)に入会します。
初入選当時は結社のことも歌壇のことも何も知らず
紙面に載ったことをほんわりと喜んでいただけでしたが
今から思えばあの一枚のはがきが
私を「かりん」へと導いたとも言えるかもしれません。