川口慈子歌集『世界はこの体一つ分』①
- momosaran
- 2017年9月7日
- 読了時間: 2分
「かりん」の川口慈子(かわぐち・やすこ)さんの第一歌集が出版されました。
(角川書店 2017年8月25日発行)
オレンジ色がパッと目をひく装幀です。
栞文を、栗木京子さん、梅内美華子さん、染野太朗さんが書いておられます。
川口さん、おめでとうございます!
川口さんとは東京での「かりん」の集まりで何度かお会いしたことがあり、
先月の全国大会2日目の懇親会では同じテーブルのお隣の席でした。
(席は会場入り口でくじを引いて決まるシステム🐤)
その折にコンサートのこともお話ししたりしました。
そう、川口さんは音楽家。
ピアノを専攻するかたなのです。
歌集には音楽があふれています。
なんというか、川口さんが体で感じて、体から発する音楽が。
幼い頃、ピアノを習っている子はクラスに数人しかいませんでした。
そのうちの一人が、合唱大会のような時にグランドピアノで伴奏をする。
ピアノの鍵盤をさわったこともない私は、憧れをこめてその姿を見ていました。
そんな私にも、ピアニストの感覚を伝えてくれるうたがたくさんあります。
楽器を演奏する感覚を言葉で表すのはむずかしいと思うのですが
音楽家であり、歌人である川口さんから生まれるうたには感じることができます。
歌集からご紹介したいうたが多いので、本日と明日に分けて取り上げます。
まず今日は、「指先」がうたわれた作品を。
ピアノの奏者として「指」が入っている作品が幾首もあるのです。
そういえば、ある小さな偶然も起こりました。
2日前の記事「奈良のオレンジショコラ」に、
うたが浮かんだので「かりん」の月詠に入れますと書いたのですが
その歌の推敲が終わったのが9月4日の朝。
その一首は「指先」をうたったものでした。
そして、その日のお昼に届いたのが川口さんの歌集なのです(=^∸^=)
年老いし象の歩みの強さもて鍵盤を弾くわれの指先
鍵盤の上では自由な指先をベンチに組んで陽に温める
砂の城作って壊す束の間の指先濡れし恋と思えり
君の眼鏡かけてぐんにゃりする世界指先だけをつなげて歩く
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