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川口慈子歌集『世界はこの体一つ分』②

  • momosaran
  • 2017年9月8日
  • 読了時間: 1分

きのうに続いて「かりん」の川口慈子さんの第一歌集をご紹介いたします。

タイトルは、歌集の最後に置かれた一連「世界はこの体一つ分」の一首目から。

   真夜中のシャワーがどこまでも響く 世界はこの体一つ分

きのうは「指先」のうた四首を取り上げました。

今日はそれらを含めて、たくさんの好きな歌の中からさらに選んだ十首です。

作者の体から発せられる音楽を感じられるような歌の数々です。

海と山近きふるさとかなしめばピアノに生れる水の音階

    張りつめる水に口づけするように第一音の鍵盤鳴らす

    緊張をときほぐすため緊張しクリームソーダのクリームすくう

    年老いし象の歩みの強さもて鍵盤を弾くわれの指先

    ピアノ弾く練習室に独房のごとき窓あり開花予想日

    天井に昇る音階弾くときに顔を上げればふいに切なし

    仰向けの蝉に息吹きかけたればゆっくりと空を掻く仕草する

    丸みもつ君の背中を指圧して楽器に続く筋に触れたり

    簡単に壊れる恋を知りし我が十六分音符煌めき止まず

    一時間弾いて音色丸くなるピアノにわれは許されており


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