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「水城」第269号

  • momosaran
  • 2018年4月9日
  • 読了時間: 2分

「水城」はコスモス短歌会福岡支部より発行されています。

第269号(2018年3月10日発行)には2017年コスモス全国大会の歌会記が掲載されています。

また、前号の巻頭詠(池田毅さんの作品)評を外部の月下桜さんが執筆なさっています。

 薔薇の香の菓子を作れり美しきものは隠すと髪つつむ国

 大西晶子

 散歩車に一歳児五人乗せて押しじわり汗かく寒風の中

猿渡紀美子

 昇る日を沈みゆく日を満月を美(は)しく眺めて手術に臨む

 中村仁彦

 咽喉の無きわれの巡りを踊りつつ死神数多一夜を過ごす

一首目。

イスラム教圏の国の女性たち。

そのベールの下には美しい髪が。

二首目。

非常の際の避難用でもあると聞く、まだよく歩けない一歳児のためのお散歩カー。

幼児というかまだ赤ちゃんと呼びたい小さな子どもたちが

立ったまま保育士さんの押すお散歩カーで道をゆくようすはかわいらしいですが

保育士さんにとっては冬でも汗をかくほどの労働。

三首目。

手術に際し、自らの命の限りというものに向き合った時に

これまでなにげなく見ていたお日さまも月もこの上なく美しくみえるのだと思います。

四首目。

手術後の夜を過ごす中で、作者には死神が見えたと言います。

それはじっとこちらを見ているのではなく

自分のまわりを踊っている。しかもたくさんで。

具体的な描写にひきこまれます。

下の句は漢字が連なっているので、「数多」はひらがねでもよいかなと思いました。


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