塩野頼秀歌集『をみなへしをとこへし』
「かりん」の塩野頼秀さんの『をみなへしをとこへし』が上梓されました。
(角川書店 2018年8月25日発行 2,600円+税)
第一歌集です。
塩野さん、おめでとう存じます。
塩野さんは2012年にかりん力作賞を受賞なさったかたです。
歌集名は、次の一首からきているようです。
ビルの花屋すすき束ねてをみなへしをとこへし好しと一つの壺に
今回の第一歌集に
馬場あき子先生が帯文を、
そして坂井修一さんが解説を書いていらっしゃいます。
装幀はモノトーンでシック。
都会的な雰囲気です。
こちらの歌集から六首ご紹介いたします。
純愛にもう戻れない叔母がいふ「戦時下ほどほど自由だつた」と
術後半年検診にわが医師のいふ「もう人を愛してもいいですよ」
ビジネス街に昼餉を取れば早食ひを競へるわれのまだ在りをかし
妻の碁歴二十年わが短歌歴八年なれば夕餉用意す
「殺さう」とおもふ恋人がゐるひとの冷酒二合に付きあつてゐる
人を抜いたと感ずる一瞬確とあり分からないのは抜かるるときだ