米川千嘉子歌集『牡丹の伯母』
- momosaran
- 2018年11月17日
- 読了時間: 1分
「かりん」の米川千嘉子さんの第九歌集が出版されました。
(砂子屋書房 2018年9月8日発行 3,000円+税)
歌集名は「ぼうたんのをば」とふりがながついています。
米川さんのこれまでの作品、
たとえば社会詠は
<戦争鑑賞人>のうたなどから大きな示唆を受けました。
今回の歌集にも、次のようなうたがあります。
見つからぬ子を捜すため潜水士となりたるひとの閖上の海
子に見せてならないものは死にあらず性ならずこのうす笑ひの答弁
社会詠だけでなく、大きなる時間を感じさせる歌集です。
2015年から2018年までの作品ということですが
そこに流れているのは悲しみや憤りも含んだ豊かな時間で
読む者にその広さを感じさせます。
これからも近くに置いて
折にふれて読み返したい歌集です。
ご紹介したいうたがたくさんありますが
その中から幾首かを記します。
雷も聞こえぬ母の辺にひらく花菖蒲の紺父のごとしも
堤防決壊思はざりけり銃に弾込むるごと川に雨降りゐしを
元興寺明日香瓦をぬらす雨牡丹の花のうちがはに入る
われと夫ただ書く夜に息子来て一夜眠れば闇やはらかし
ああ死者はわれの横がほ見てをらむバス停わきの白椿咲く
最新記事
すべて表示今月の「かりん」は8日に届きました。 (8日といえば、私が寝込んでしまった日ですね・・・) 今月号では私は前月号作品鑑賞(1A欄)を執筆しました。 それから、例年「かりん」の12月号には年間展望が掲載されます。 今回は、「山花集」の年間展望(執筆:畑彩子さん)で...
今月(第33回)のいいづか短歌サロン(紙上開催)は10日付で発行しました。 先月、8か月ぶりに会場で開催した折に見学に来られたかたがいらしたのですが そのかたが今回、初めてご参加になりました。 嬉しいことです♪ ご参加人数も紙上開催の回ではこれまでで最も多くなりました。...
購読している新聞(朝日です)には土曜日に別刷りの「be」が付きます。 その大きな写真付きの1面は「フロントランナー」。 さまざまな分野で活躍しているかたへのインタビュー記事です。 1面の記事は3面にも続きます。 今週の「フロントランナー」は歌人の穂村弘さんでした。...
Comments