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「かりん」12月号-茶碗割られたり


きのう、「かりん」12月号が届きました。

「前月号作品鑑賞(1A欄)」を執筆しています。

今回取り上げたのは

戦争や虐殺事件、今夏の災害級の暑さを詠んだ作品。

きょうだい(弟)や亡くなった人を思ううた。

それから、記憶に強く残る食べものを詠ったものです。

そして、自然詠も一首取り上げました。

そのうたの作者は数年前に90代での第一歌集『游魚』を上梓されました。

 那須岳の霧のおどろに立ち入りてむらさき深きりんだう摘みき

 佐藤善二

私の掲載歌は40年近く前に亡くなった祖母を詠んだものです。

掲載の六首すべてをご紹介します。

 英子ばあちゃんが死んでしもうたと父泣きぬ訃報に学生寮より戻れば

                   ※「ばあちゃん」に「ハンメ」のルビ

 玄関を入れば父の出てきたり祖母に死なれておろおろ泣く父

 日本語を話せぬままに祖母逝きぬ故国の医師のいる病院に

 祖母の爪切ればアリガトウと言い巾着から五十円をくれたり

 出棺の祖母の茶碗を玄関の前に割りたり一世の同胞

 霊柩車発つとき茶碗割られたりもうこの世には戻れぬ祖母

                  ※「祖母」に「ハンメ」のルビ


 
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