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馬場あき子歌集『あさげゆふげ』

  • momosaran
  • 2019年1月11日
  • 読了時間: 2分

「かりん」主宰の馬場あき子先生の第27歌集です。

(短歌研究社 2018年11月3日 3,000円+税)

以下は、帯文にもなっている「あとがき」の一節です。

「この歌集を編みながら、私がこの歌をかいていた時、

岩田は階下のあの椅子に坐っていたのだなあ、と思うとまことにせつなく、

ここ数年の夜の感慨がまつわる。

私にとっても岩田とともにあった日の最後の歌集になった。」

『あさげゆふげ』には2015年11月から2018年5月までの作品が収録されています。

岩田正先生が急逝されたのが2017年11月3日でした。

今回の歌集は、発行日が岩田先生の一周忌となっているのです。

連作「別れ」、「残され椅子」、「ひとり正月」、「かげろふ」、「衛星のごとく」といった、

岩田先生をうたった作品がおさめられています。

 行動の早きもののみが生き残るこれが戦争と知りて走りき

 機銃掃射に膝を打たれし友あれどききつつ誰もそののち知らず

 小さい小さいあの雀こそ親なれば太る小雀に口移しする

 牡丹の蕾ふくらむと呼べどたちて見ず知るのみにして少したのしむ

 もうわずかな思ひ出だけでいいのかも風に流れる梅の花びら

 四十年使ひなれたる塗椀に汁盛る朝の夏至の葱の香

 大ぶりの椀にたつぷり雑煮して謹賀新年ひとり正月

 衛星のごとく互(かたみ)にありたるをきみ流星となりて飛びゆく


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