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渡辺美佐子さんを見かけた夏


渡辺美佐子さんといえば、長年第一線で活躍なさっている著名な女優ですね。

代表作を一つあげるとすると、

一人芝居の『化粧』でしょうか。

その渡辺美佐子さんを博多駅でお見かけしたことがあります。

私が博多へ通勤していた頃のことです。

夏の暑い盛り。

仕事を終えて、夕方、いつものように博多駅の改札口を通って

各ホームへの連絡通路を歩いていると

70代くらいの女性が3人ほど、

5番・6番ホームへ続く階段の下でお話しされているのが目にとまりました。

会話の内容はわかりませんが

3人はいっしょに移動なさっていて、

これから乗る列車が発車するホームを確認している、

そんなふうにお見受けしました。

その中のお一人が渡辺美佐子さんでした。

「ああ、あの旅をなさっているのだな。」

そう思いました。

女優である渡辺さんや高田敏江さん、日色ともゑさんなどが

毎年、夏に

被爆者のかたがたの手記を朗読する舞台を続けてあることは

ご存じのかたも多いと思います。

1985年から続いたこの朗読劇

「この子たちの夏 1945 ヒロシマ・ナガサキ」は

主宰団体の解散により2007年が最後となりました。

けれども、出演していた女優のかたがたが

この朗読劇を続けたいということで

2008年に会を立ち上げて

「夏の雲は忘れない ヒロシマ・ナガサキ 一九四五年」

として続けてこられました。

渡辺さんを博多駅でお見かけしたのは

2010年代になってからのことだったと記憶しています。

現在はご出演の女優さんがたで

会場の確保などの裏方の仕事もおこないながら

全国を公演してまわっていると話されているのを

インタビューでお聞きしていたので

たぶんこれから九州のどこかでこの舞台を上演するために

旅をなさっているのではないか。

そう拝察したことでした。

34年続けてこられたこの公演は、今年が最後になるそうです。


 
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