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トン族

<2021年2月25日>


中国の少数民族、トン族は独自の文字を持たず、


2000年以上にわたって民族の歴史や文化などを歌によって伝えてきました。


トン族大歌は世界遺産になっているそうです。


彼らのドキュメンタリーを見て思ったのは、万葉の時代のこと。


トン族の歌には労働の大切さを歌ったものや親孝行の歌などいろいろありますが


男女が相手に自分の気持ちを伝える手段も歌なのです。


歌で告白されて その気持ちにこたえるのも恋心の歌を歌うことによってです。


元日に(トン族のお正月は冬至の日)


村どうしが歌い合う行事があって


NHKのドキュメンタリー番組ではこれを歌合戦と表現していました。


確かにそれぞれの村から歌の上手な人が選抜されて向き合うのですが


勝敗の判定はくださないのが伝統だそうです。


その時に歌うのも大半が恋の歌です。


片方の村の男性が相手の村の女性を誉めて(もちろん歌で)


女性側も歌で返すのですが


それらの歌詞は即興ではありません。


これまで練習してきた歌の中からその場で選んでいました。


これを見て思ったのは日本の万葉の時代の歌垣です。


歌垣は男女の出会いの場でもありました。


トン族の男性が話していたのは


若き日、妻と歌でお互いの気持ちを確かめ合って結婚したこと。


そして、辛いときでも歌えばうれしくなる。


元気が出る。


そして、家庭も幸せになるのですと。


万葉集の中にも


山上憶良が老いの嘆きをうたではらおうと言ったり


大伴家持がこの憂いはうたでなければはらせないと言ったりしていますね。


トン族のうたには独特のメロディーがついた歌唱であり


現在の短歌とは異なりますが


万葉の時代のうたは現在よりもっと音楽的なものだったようです。


トン族の村人が吹いていた楽器は


日本の雅楽で使われる笙にそっくりでした。




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