「いであむ」創刊号
<2023年3月30日>
「いであむ」は本年1月に創刊されました。
「かりん」の古河惺さんと霧島茉莉さんによる短歌同人誌です。
現在は主に若い世代を中心に、
結社に所属しているしていないに関わらず同人誌発行が多くなった印象です。
結社に所属している場合でも
結社内の仲間で出したり、超結社であったりします。
その同人誌を各地の文学フリマで販売することも盛んなようです。
(ここ福岡でも定期的に文学フリマが開かれています)
「いであむ」は、まず同じ結社の新進気鋭のおふたりが同人であること、
それに加えてとても美しい装幀が私の心をとらえました。
表紙は白とブルーと銀色で
しかも中の文字の色が・・・!
茄子紺と言っていいのでしょうか。
文字が黒以外で印刷されることじたいめずらしい上に
すごく私好みの色です。
私の第2歌集『百年の祭祀(チェサ)』の装幀に使ったのと近い色です。
そして、おそらくお仕事でお忙しいだろうおふたりが
「かりん」以外にも短歌の活動の場を作られたことに
心を動かされました。
「いであむ」創刊号には同人おふたりの作品の他
ゲスト3人の短歌作品も掲載されています。
今回は同人おふたりの作品から幾首かご紹介いたしますね。
*20首連作 「オペ着でふたり」より 霧島茉莉
よく似合ふ短き髪を褒めけりな微笑む君の心を知らず
十日といふ残り時間を知らぬままオペ着(ぎ)でふたりだらけたりけり
桜のやうな人なりけりと卒業式結婚式でも語らるる君
集ふたびに友らの顔を少しずつ美しくせり君は今でも
願ひけむ夢のかけらを生く我に働く一日(ひとひ)は夢幻のごとし
*10首連作 「魔法使いにはならない」より 古河惺
もずもずと詰め替えてゆく上白糖よくないことがずっと気になる
星形のピノにピックを突き刺して地球がなくなる日を考える
憲法も結局は文字 ミルクチョコレートを割って口に放って
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