「かりん」5月号-パリ公主
<2024年5月14日>
「かりん」5月号は4月30日に届きました。
今年に入ってからクロネコメール便の配送システムが変わり
従来よりも「かりん」誌の到着が遅くなると考えられると
誌上でご案内があったのですが
今月はむしろ逆で、とっても早くて驚きました。
これは「かりん」のご担当のかたがたが
ゴールデンウイークの影響で到着がさらに遅れるのを防ぐために
がんばってくださったのではないかと拝察します。
ありがとう存じます。
さて、「かりん」は1978年の5月に創刊されました。
今月号の「後記」で坂井修一さんが
「「かりん」は、5月がスタートの月です。」という書き出しで
創刊の頃のことを書いておられます。
私は5月を”「かりん」のお正月”と呼んでいます。
春に昇欄が発表された会員のかたは
5月号から新しい欄に作品が載ります。
例年5月号と11月号で特集が組まれるのも
”「かりん」のお正月”と関係しているのでしょう。
今回は「現代の〈顔〉」という特集が組まれています。
そして、今月号から新しく始まったのが
馬場あき子先生のエッセイ「歌との出会い」。
前月号まで連載された「さくやこの花」に変わって
巻頭を飾っています。
第1回の今回は「空穂との出会い」。
馬場先生が1947年に「まひる野」に入会した当時のことを書いておられます。
今後も楽しみです。
では、馬場先生の今月号の7首から1首ご紹介いたします。
蜆汁貝のいのちの香にたつやほの白く濃く身にしみとほる
馬場あき子
私のうたは7首載っています。
タイトルは「パリ公主」。「パリコンヂュ」と読みます。
日本語には「捨て姫」と訳されます。
「パリ」は捨てられたという意味のことばからきていて
「公主」というのは王妃が産んだ王女のことです。
(ちなみに王妃以外が産んだ王女は翁主(オンヂュ)といいます)
パリ公主は韓半島で昔から語られてきた物語の主人公。
王と王妃に娘ばかりが生まれ、
王子を望む王は7番目もまた娘だったため、
その王女を捨ててしまいます。
その末娘がすなわちパリ公主です。
ここから波乱万丈の物語が始まるのです。
物語は地域によってさまざまなバージョンがあるそうですが
パリ公主が自分を捨てた両親の命を救うために
薬水を手に入れようと大冒険の旅に出て
それを持ち帰り(7人の息子とともに帰ってきて)
両親を助けるというのは共通しているようです。
では、その物語をテーマとした私の連作から
2首をご紹介しますね。
三人の姉と母とに守られて冒険せざりきこの末娘
末娘とみずからを言うやさしさに寒風選りて大きく歩く
キム・英子・ヨンジャ
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