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川口慈子歌集『Heel』

  • momosaran
  • 2023年5月30日
  • 読了時間: 2分

<2023年5月30日>


「かりん」の川口慈子さんの第2歌集が出版されました。


( 短歌研究社 2023年5月10日 2,200円+税 )


川口さんはピアニストであり、歌人です。


私は中学校卒業以来 楽器にふれる機会は少なかったのですが


川口さんの第1歌集『世界はこの体一つ分』(2017年)は


そんな私を川口さんの音の世界に連れていってくれるような


うたで音楽を体感できるような、大好きな歌集です。


今回の『Heel』にも音楽のうたは詠まれていますが


「あとがき」にもあるように


家族を多く詠まれています。


悲しくて、哀しくて、そして強い。


第2歌集も、第1歌集と同じように


ずっと手元に置いておきまたい、そう思わせます。


装幀も とても良いです。






包丁を持ってはダメと育てられし二人で分けるローストチキン  

                                 (P13)






レッスン室の窓から逃亡してた子がいま宇宙から帰って来たと

                                  (P22)






「本当のことを言わない娘」の頭撫でてさらさら母は眠るよ

                                  (P64)






連絡先ひとりも知らぬ高校のクラスTシャツ着て眠りたり

                                 (P74)






才能というギャンブルにくずおれた家族が回すビーチパラソル

                                 (P85)






生きている母には作らなかった粥供えれば湯気のつやめいており

                                  (P92)  






狐雨のように涙が溢れくる母の抽斗開けようとして

                              (P94)






幸せに見えないように同化する職場で口に含むチョコレート

                             (P115)






一年は生きられないと医師が言う 父と電話で過ごす十五夜

                              (P131)






終(つい)の場所と確認したるホスピスで父は歩行の練習始む

                                (P139)






夢に見る亡母は最近穏やかで何でもないことばかり言うなり

                               (P143)






その人の命と共に消えてしまうわれあり水面に走る鳥影

                               (P153)






浴槽に光るヒヨコを走らせて帰る場所などもういらないの

                              (P167)    


      









 
 
 

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