新井忠代歌集『再演の無き』
<2023年11月4日>
「かりん」の新井忠代さんが初めての歌集を出されました。
( 本阿弥書店 2023年9月10日発行 2,700円+税 )
あとがきによると短歌を始めて20年になるのを
ひとつの区切りとして歌集を編まれたとのこと。
梅内美華子さんが解説を書いておられます。
歌集のタイトルは次のうたからとられているようです。
生きるとは再演の無き芝居なり日日シナリオを書き継ぎながら
郷土を詠まれたうたに特に魅力を感じました。
そして、日常や社会についての違和感を
ウイットをきかせて詠まれたうたの数々に
そうそう!と共感するかたも多いのではないでしょうか。
新井さん、第1歌集ご上梓おめでとう存じます。
鮮らかなあを噴き出して太りゆく春の眉山はデンデケデケデケ
三味線に阿波踊りもて迎へけり田舎道来る花嫁行列
鏡餅の青かび赤かび刮(こそ)げ取り火鉢に焼くころ梅ほころびぬ
日の丸で子らの服縫ふ母のゐき戦敗れて間もなくの頃
命懸けて吾(あ)を恋ふるごと付きまとふ晩夏のやぶ蚊打てど払へど
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