本屋敏郎歌集『神話街道』
- momosaran
- 2023年4月18日
- 読了時間: 2分
更新日:2024年5月21日
<2023年4月18日>
「かりん」の本屋敏郎さんの第一歌集が出版されました。
(2023年3月1日 短歌研究社 2,500円+税)
解説は坂井修一さんが書いておられます。
本屋さんのふるさとは鹿児島。
宮崎県延岡市で15年を過ごされたそうです。
歌集は次のようにまとめられています。
「日向街道」・・・延岡市はじめ宮崎県内を題材とした作品
「神話街道」・・・日向神話に関わる各所を詠んだ作品
「肥後・豊後街道」・・・熊本・大分に関わる作品
「薩摩街道」・・・ふるさとに関する作品
第1歌集でありつつ全体として端正な歌風で
南九州の自然の中で神話を体感するような作品が印象的です。
また、作者がお仕事のため延岡市へ転居されたことにより
鹿児島でひとり暮らしとなったお母さまのうたが折々にあります。
そのうたうたから立ち上がるたたずまいに心ひかれました。
では、『神話街道』から何首かご紹介いたします。
朝光の届き始めし庭石の温もり抱きて蜥蜴眠れり
流されてばかりのように揺れながら行くべき方へ飛びゆける蝶
不幸ふたつ幸せひとつ今日聞きぬ今日は良き日と思いて眠る
大一番取り終えしごとゆったりと角力田橋を猫帰り来る
右足は痛くないとう母の便り左は痛いと読み換えたたむ
戦いて逃れ日向の地に果てし百済の王の息のごと風
草原を白馬群れなし行くごとく白波の湧く秋の海岸
余所者は来るなとニニギ威すごと槵觸峯に蟬鳴きしきる
眠りつつ運ばれて行く生もある夜汽車の窓の明かり閉ざして
ふるさとは火を噴く山のあるところ元気を出せと叱られに来る
風吹けば山より降れる枯れ枝を集めて沸かす母の湯に浸る
故郷の母を訪ねて百日草と忠告ひとつ貰いて帰る
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